#0095 「借用書」と「金銭消費貸借契約書」
2009/12/20
親しい者同士でのお金の貸し借りは、お互いの信頼関係に基づいて、契約書や借用書を取り交わさない事が多いのではないでしょうか。金銭消費貸借契約そのものは、書面がなくても金銭の授受があり、相手が返済の約束すれば有効に成立します。しかし、トラブルが発生した場合に、契約の事実を証明するには『借用書』・『金銭消費貸借契約書』を作成しておく事が必要です。
『借用書』と『金銭消費貸借契約書』は内容面ではどちらも変わりありません。両者の違いは、前者は借主が貸主に差し入れる形式をとるのに対し、後者は借主・貸主が当事者として署名押印または記名押印する形式をとります。
■記載内容
貸主にとって借用書などを作成する目的は、貸し借りの証拠を残すということだけではなく、貸金をより確実に回収するためです。書面の作成にあたっては、以下の内容を記載します。
① 金額
② 返済日や返済方法(一括返済か分割返済か)
③ 返済を怠った場合の対応方法
④ 利息(遅延利息)の計算方法
⑤ 署名・捺印(実印がよい)
■公正証書
貸金の返済が期限を過ぎても約束通りに行われない場合には、裁判を起こして裁判所の判決等を得なければ強制執行をすることができません。
そこで、貸金の金額が大きい場合などには借用書・金銭消費貸借契約書を『公正証書』にしておくと安心です。
公正証書は、法律の専門家である公証人が公証人法・民法などの法律に従って作成する公文書ですので、高い証明力があるうえ、債務所が金銭債務の支払いを怠ると、裁判所の判決を待たないで、直ちに強制執行手続きに移ることができます。
■収入印紙について
借用書・金銭消費貸借契約書には収入印紙を貼付する義務があります。印紙税額については下記のとおりです。
記載金額 印紙税額
1万円未満 非課税
10万円以下 200円
10万超50万円以下 400円
50万超100万円以下 1千円
100万超500万円以下 2千円
500万超1千万円以下 1万円
1千万超5千万円以下 2万円
5千万超1億円以下 6万円
1億超5億円以下 10万円
5億超10億円以下 20万円
10億超50億円以下 40万円
50億超 60万円
契約金額の記載がないもの 200円
また、印紙を貼り忘れても、契約内容は有効ですが、過怠税として、当初納付すべき印紙税の3倍に相当する金額が徴収されることになります。
必ず、適切な金額の印紙を貼付しましょう。
税理士法人 さくら総合会計 (監査部)