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コラムレター

#0073 交通事故における企業の賠償責任
2009/04/16
  交通事故を起こして他人に損害を与えれば、その損害を賠償する責任が生じます。この賠償責任は、事故を起こした運転者にあるのは当然ですが、運転者が勤務する企業も責任を負わされるケースも多いのです。
  交通事故の賠償問題は、社有車の管理に限って考えておけば十分と思われがちです。しかし、現実には、従業員個人の車あるいは貸用車、関連企業の車による事故の責任まで負わされる場合があるので、社有車の管理だけでは不十分ということになります。
  企業の危機管理のためには、賠償責任についての基本的な法律知識をしっかり頭に入れておくことが必要といえます。

●民法 第715条 使用者責任
●自動車損害賠償保障法(自賠法) 第3条 運行供用者責任

  従業員の起こした事故によって会社に賠償責任が生じるか否かは、個々の事案によって異なるので注意が必要です。

責任が発生する可能性がある事例は下記のとおりです。

・ 従業員が社有車を会社に無断で使用中に起こした事故

・ 従業員がマイカーで通勤中に業務の一部を行っているような場合の事故
 例) 荷物の配達、得意先への訪問(営業)など、外部から見て業務中と区別できない場合

・ 社有車が盗難に遭い、窃盗犯人が起こした事故
 例) 社有車の鍵の保管や駐車場の管理の瑕疵により、盗難にあった場合

会社、従業員以外で責任が発生する可能性がある事例は下記のとおりです。

・ 下請業者(従業員)が起こした事故
 例) 資本関係が全く無くても、元請人側の指揮・命令が及んでいるような場合
  (実態で判断され、元請人の運行支配が認められるような場合)

・ 関連企業や子会社に対して、名義貸しがあった場合に起した事故
 例) 車の維持管理費等(税金・ガソリン代・駐車場の提供等)、実態的に自社の車と同視されるような場合

・ リース車による事故
 例) リース形態(ファイナンス・メンテナンス)によって異なりますが、両方共、責任を負う場合有り

  そこで企業としては下記の様な対策を実施する必要があります

① 従業員に対しての運行管理規程(労働契約・就業規則等)の整備・見直し

② 業務車両運行管理規程(就業規則・労働協約等)の整備・見直し

③ 車両維持管理規程

④ 運転者に関する規程

⑤ 保険関係の整備・見直し

⑥ 関連会社等に対する確認・見直し

  交通事故に対する企業対策について、考えてみてはいかかでしょうか?


税理士法人 さくら総合会計 (監査部)