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コラムレター

#0047 災害や盗難などで資産に損害が…そんな時には雑損控除
2008/06/18
◆はじめに
 
中国南西部の四川省で起きた大地震、今も復興のための活動が続けられ、その動向が気になるところです。皆さんも災害に対する関心が高まっているのではないでしょうか。

 さて、もし万一自分の身に災害が降りかかったらどうなるでしょうか。心身に及ぼす影響もさることながら、財産面での損失も大きなものとなるでしょう。そんな場合、所得税では、災害又は盗難、横領によって、資産に損害を受けた場合に、一定の金額の所得控除を受けることができる制度を設けています。  
これを雑損控除といいます。
   
◆雑損控除の概要

○雑損控除の対象となる資産をみてみましょう
 
損害を受けた資産の全てが対象となるわけではなく、以下の要件のいずれにも当てはまるものが対象となります。

1.資産の所有者が次のいずれかであること。
 (1)納税者
 (2)その年の総所得金額等が38万円以下で、納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族
2.生活に通常必要な住宅、家具、衣類などの資産であること。
  (別荘や事業用の資産、書画、骨董、貴金属等で、1組又は1個の価額が30万円を超えるものなどは当てはまりません)

損害の原因には制限があります

1.震災、風水害等の自然現象の異変による災害
2.火災や火薬類の爆発など、人為による異常な災害
3.害虫などの生物による異常な災害
4.盗難
5.横領
ちなみに、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません

○雑損控除として控除できる金額はどのように計算するのでしょうか

 以下の例で実際に計算してみましょう。

例) 総所得金額が600万円のサラリーマンの住宅が、地震により損害を被りました。その被害額は500万円、家財等の除去費用が150万円、保険金による補填金額が400万円です

 ①(差引損失額)-(総所得金額等)×10%
(500万円+150万円-400万円)-(600万円)×10%=190万円
 ②(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
(150万円)-5万円=145万円

 いずれか多い方の金額(①の190万円)が、雑損控除として所得控除となります。

 ※損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、控除することができます

○雑損控除を受けるための手続きは?

 確定申告が必要となります。また、この雑損控除とは別に、災害減免法による所得税の軽減免除があり、どちらか有利な方法を選択できます

税理士法人 道央会計事務所(監査部)