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コラムレター

#0221 財務指標としての労働生産性
2024/07/17
令和6年6月21日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2024 ~賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現~」(骨太方針2024)においては“生産性の向上”が重点課題として掲げられており、その方策として、中堅・中小企業の設備投資を後押しするほか、販路開拓や海外展開による成長分野の持続的な拡大を推進することが示されています。

本稿では財務指標としての「労働生産性」を紹介いたします。

財務省財務総合政策研究所による『法人企業統計調査』において、労働生産性は「従業員一人当たりの付加価値額」と定義されております。

労働生産性(円)= 付加価値額* 従業員数

*付加価値額 = 人件費** + 支払利息等 + 動産・不動産賃借料 + 租税公課 + 営業純益***
** 人件費 = 役員給与 + 役員賞与 + 従業員給与 + 従業員賞与 + 福利厚生費
***営業純益 = 営業利益 – 支払利息等


同調査の2022年4月1日~2023年3月31日の間に決算期が到来した法人を対象としたデータによると、労働生産性は次のようになっておりました。

全産業(全規模)  
 738万円 
製造業(全規模)  
 902万円 
非製造業(全規模)  
 694万円 

労働生産性の向上は、賃上げの原資が増えることを意味しており、賃金と物価の好循環が期待されております。決算書の分析はもちろん、期中における財務状況の把握、経営計画の策定においても、労働生産性に着目されてみてはいかがでしょうか。

《参考》
経済財政運営と改革の基本方針2024 - 内閣府
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2024/decision0621.html
法人企業統計からみえる企業の財務指標 : 財務総合政策研究所
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/zaimu/


税理士法人 さくら総合会計  監査部 石森 雅