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コラムレター

#0189 社会福祉法人における寄附金等の取扱いについて
2019/10/11
社会福祉法人には、日頃から法人や施設に対し『寄附金』や『寄附物品』が数多く存在します。
皆様の法人や施設では寄附金や寄付物品の処理は適切に処理されていますでしょうか?
今回は、社会福祉法人が『寄附金』や『寄附物品』を収受した場合の会計処理について解説致します。

1.金銭の寄附について
『金銭による寄附は、寄附目的により拠点区分の帰属を決定し、当該拠点区分の資金収支計算書の経常経費寄附金収入又は施設整備等寄附金 収入として計上、併せて事業活動計算書の経常経費寄附金収益又は施設整備等寄附金収益として計上するものとする。』とされています。
(社会福祉法人会計基準の運用上の留意事項 9寄附金 (1)寄附金の扱い)

2.寄附金は、寄附者の寄附目的によって収入科目が異なります。
 
① 施設整備等に関する寄附金は「施設整備等寄付金収益(収入)」

(例)施設建設のために10,000,000円の寄附金が普通預金に入金された。
   事業活動計算書:(借方)普通預金 /(貸方)施設整備等寄附金収益 10,000,000
   資金収支計算書:(借方)支払資金 /(貸方)施設整備等寄附金収入 10,000,000

② 設備資金借入金償還財源としての寄附金は「施設整備等借入金償還寄付金収益(収入)」

(例)施設建設の借入金償還のために10,000,000円の寄附金が普通預金に入金された。
   事業活動計算書:(借方)普通預金 /(貸方)施設整備借入金償還寄附金収益 10,000,000
   資金収支計算書:(借方)支払資金 /(貸方)施設整備借入金償還寄附金収入 10,000,000

③ その他の寄附金は「経常経費寄附金収益(収入)」

(例)法人のために100,000円の寄附金が普通預金に入金された。
   事業活動計算書:(借方)普通預金 /(貸方)経常経費寄附金収益 100,000
   資金収支計算書:(借方)支払資金 /(貸方)経常経費寄附金収入 100,000

3.寄附物品について
寄附物品については、取得時の時価により、経常経費に対する寄附物品であれば 経常経費寄附金収入及び経常経費寄附金収益として計上する。土地などの支払資金の増減に影響しない寄附物品については、事業活動計算書の固定資産受贈額として計上するものとし、資金収支計算書には計上しないものとする。』とされています。
また、『当該物品が飲食物等で即日消費されるもの又は社会通念上受取寄附金として扱うことが不適当なものはこの限りではない。』ともされています。
(社会福祉法人会計基準の運用上の留意事項 9寄附金 (2)寄附物品の扱い)

4.寄附物品は、取得時の時価によって仕訳が異なります。
 
固定資産に該当する物品の寄附「固定資産受贈額」(資金収支計算書には計上されません。)
  
(例)大型液晶テレビの寄附を受けた場合(時価50万円相当)
   事業活動計算書:(借方)器具及び備品 /(貸方)固定資産受贈額  500,000
   資金収支計算書: 仕訳なし

固定資産以外の物品等の寄附「経常経費寄附金収益(収入)」
  
(例)施設の居室等で使用する掃除機の寄附を受けた場合(時価3万円相当)
   事業活動計算書:(借方)事業費-消耗器具備品費   /(貸方)経常経費寄附金収益  30,000
   資金収支計算書:(借方)事業費-消耗器具備品費支出 /(貸方)経常経費寄附金収入  30,000

以上のように寄附金の受入れ等については、社会福祉法人会計基準運用上の留意事項の通知により適切に管理することとされています。物品等の寄附を受けた場合も忘れず処理してください。

税理士法人さくら総合会計 公益・社会福祉法人部 清水 幹夫