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コラムレター

#0178 所得拡大促進税制の改組について
2018/07/03
平成30年度税制改正において、青色申告書を提出する中小企業者等が従業員の給与を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除する「所得拡大促進税制」について制度の簡素化が図られています。

①従来の「給与等支給総額が基準年度(平成24年度)比で3%以上増加していること」という基準年度との比較要件が撤廃され、改正後は「給与等支給総額が前年度以上で、平均給与等支給額が前年度比で1.5%以上の増加」であれば適用できるようになります。

②従来は、「給与等支給総額の基準年度(平成24年度)からの増加額に対して10%」の税額控除でしたが、改正後は計算方法が簡素化され、「給与等支給総額の前年度の増加額に対して15%」の税額控除になります(法人税額の20%が上限)。

③上乗せ措置として、平均給与等支給額が対前年度比で2.5%以上増加し、下記のいずれかの要件を満たせば、税額控除が15%から25%に拡大されます。

イ.前期の教育訓練費の額に対する増加割合が10%以上であること

ロ.その事業年度末までに中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたもので、その計画に従って経営力向上が確実に行われたこと

本制度は平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する事業年度に適用されます。従業員の退職等があった企業において、今まで基準年度との比較要件が課題となり制度適用できなかった事例がありましたが、今回①の改組によって活用できる企業が増加します。改めてご確認されてはいかがでしょうか。

税理士法人 さくら総合会計 新潟事務所 監査部 岸本 将希