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コラムレター

#0015 皆さんは「M&A」といえば何をイメージされますか?
2007/07/29
§はじめに
皆さんは、「M&A」といえば何をイメージされますか?

 「M&Aね~新聞じゃよく見るけど、うちは小さい会社だから関係ないでしょ」
 「ブルドッグが外資系のファンドに買収されそうになったよね~」
 「TOBやらMBOやら意味がよく分からない」
 「そういえば知り合いの社長が会社を売って引退したらしい」

このHPをご覧になる皆様のM&Aに対するイメージはこのようなところではないでしょうか?

 新聞やテレビで報道されるのは上場会社が行う金額的に大きなものや一般的に興味をそそられるものを大きく取り扱いますし、TOBは、その性質上、中小企業では、ほとんどありえません。したがって中小企業M&Aについては、報道では殆ど目にする機会がないかと思います。

 しかし、現実的には売り手企業も買い手企業も大きなメリットのある中小企業のM&Aは日常的に行われて
います。

そこで、中小企業のM&Aが実際どのように行われているかをご説明したいと思います。

§どのような会社が譲渡するか?
弊社に御相談頂く案件で最も多い理由は以下の2点です。

(1)後継者不在のため
①子供に継ぐ意思がない。
 後継者の第一候補として真っ先に考えられるのが、子供ということになると思いますが、最初から親にも子供にも継承の意思がない場合もあります。また、社長である親が承継してくれるだろうと考えていても、子供の方からすれば、全くそのつもりはないというコミュニケーションギャップが生じていることが多々あるようです。中小企業白書によれば、親の会社を継がないという子供は実に67.7%に及びます。
 その理由は以下のようなものです。
 ・事業に将来性、魅力がない。
 ・自分に能力、資質がない。
 ・今の仕事、企業が好きだから
 ・今の収入を維持できないから。
 ・雇用されていた方が収入が安定するから

②子供に継がせられない。
 幸運にも子供が、承継する意思を持っていたとしても、現在の厳しい競争環境下においては、現社長以上の能力がなければ、会社を発展、維持させることは非常に困難です。そのような観点からいざ会社に入って、経営者教育を始めたもののとても継がせることはできないと判断されることがあるようです。

③社内に適当な人材がいない。
 社内で有望な人材を後継者にと検討を始めても、なかなか経営者としての資質を持つ社員は見つけることは難しいようです。

(2)業界の先行き不安のため
①規制緩和、自由化による先行き不安(タクシー、LPG等)
 規制緩和や自由化が行われている業界では例外なく競争が激しくなっており、大資本への一極集中など中小企業にとって先行きが不透明になることが原因となっています。

②業界の構造変化による不安(卸売業、建設業等)
 メーカー・小売の直結による中間コストの圧縮に伴う「卸売不要論」が論じられています。また、特に地方では公共工事の縮小や入札方法の変更等により中小建設業者の業績は非常に悪化しています。こういった今までのルールや構造が大きく変化している業種では先行きの不安から会社の譲渡を検討される原因になっています。

③世の中のトレンドの変化による不安(和装業等)
 生活様式や習慣の変遷によりマーケットが大幅に縮小しており、今後の世の中の傾向を考慮するとマーケットの拡大が見込めず、経営戦略の大幅な転換が求められる業種において、会社の譲渡を検討されるようです。

以上、今回は、会社を譲渡する側にスポットを当てて簡単に説明させて頂きました。

 中小企業のM&Aにおいては、新聞を賑わすような大きな金額での売買や派手なM&Aの手法が採られることはありませんし、いわゆる「敵対的買収」ということからもほとんど無縁です。譲渡側の経営者様が意図されるのは、会社を存続させないと「従業員の雇用が維持できない」ということや「取引先や仕入先に迷惑をかける」といったことで、大企業の行う会社の譲渡とは違う動機によるものです。

当社では、そのような中小企業の社長様のお気持ちを大事にした仕事を心がけていきたいと考えております。

次回、機会がありましたら「どのような会社を譲受するか?」を掲載したいと思っています。


道央マネジメントグループ
株式会社 道央M&Aセンター