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コラムレター

#0148 「連帯保証人」と相続の関係について
2014/12/27
 相続における基礎控除額等の改定を平成27年1月1日に控え、相続に対する関心が高まっているところですが、今回は、この相続と事業を行っていく上で必要となる機会の多い連帯保証の関係について説明していきます。

<連帯保証>
 連帯保証人は「借主と同等の扱いを受ける」ということになります。このため、借主に返済能力があったとしても債権者(金融機関等)は連帯保証人に返済請求ができます。
 
●連帯保証のポイント

 ①催告の抗弁権がない
 連帯保証人よりも先に借主本人から取るべきという主張ができない。

 ②検索の抗弁権がない
 連帯保証人よりも先に借主の財産や収入を差し押さえるよう主張ができない。

 ③分別の利益がない
 連帯保証人が複数いる場合でも各連帯保証人は債務額全額の請求に応じなければならない。

<相続との関係>
 相続とは、人が亡くなったときに、その亡くなった人(以下「被相続人」という。)が所有していた財産(権利と義務)を引き継ぐことです。
 相続が発生すると被相続人の所有していた財産(権利と義務)を配偶者や子供など(以下「相続人」という。)が引き継ぎますので、「連帯保証」も引き継ぐことになります。

●被相続人が第三者の連帯保証人になっていた場合

 相続人が連帯保証人としての地位を引き継ぐことになるため、相続人が連帯保証人としての責任(義務)を負います。この場合、相続放棄を行えば連帯保証人としての地位を引き継ぐことはありませんが、連帯保証人としての責任(義務)だけを放棄することは出来ないため、状況により判断する必要があります。

●被相続人の連帯保証人になっていた場合

 相続により引き継いだわけではなく、相続人自身がそもそも負担していたものですので、相続放棄等をしたとしても、債権者との連帯保証契約は継続するため、返済義務がなくなるわけではありません。

 相続が発生し、財産(権利と義務)を引き継いだ際に連帯保証人としての義務が含まれていた場合には、上記の連帯保証のポイントにあるような重い責任がかかってきます。また、被相続人が家族等に連帯保証を負っていることを伝えていない場合もあるかと思われますので、相続時には、しっかりとした財産(権利と義務)の確認が必要です。
         
税理士法人 さくら総合会計 監査部 松原 克博