税務や会計業務を中心に事業全般のコンサルタントを担う税理士事務所
011-271-1417
(受付時間:平日9:00~17:30)

コラムレター

#0143 「経営者保証に関するガイドライン」について
2014/04/23
 「経営者保証に関するガイドライン」(経営者保証に関し、中小企業・保証人・金融機関共通の自主的なルールを定めたもの)が平成25年12月5日に公表され、平成26年2月1日から適用開始となりましたので、概要についてご紹介致します。

1.背景  ・経営者保証が中小企業の創業・発展・円滑な事業承継・早期の事業再生等を阻
        害する要因になっていること。

2.目的  ・経営者保証に依存しない融資の一層の促進を図ること。
       ・経営者の保証債務整理について実務指針を明確にすること。

3.保証契約時の要件 (経営者保証なしの融資希望の場合)
 (1)法人と経営者との明確な区分・分離
  例)法人から経営者への事業上必要性が認められない貸付は行わない等
 (2)財務基盤の強化
  ・今後も借入を順調に返済し得るだけの利益(キャッシュフロー)の確保・内部留保の蓄積
 (3)経営の透明性の確保
  ・本決算のみでなく、試算表・資金繰り表等の定期的な報告等

4.保証債務の整理手続 ~保証債務の履行基準(保証人の手元に残る資産の範囲)
 (1)多額の個人保証を行っている場合でも、早期に事業再生や廃業を決断した際に
   一定期間※1生計費※2等を残すことや、「華美でない」自宅※3に住み続けられる
   こと等を検討
 (2)保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除すること
  ※1:雇用保険の給付期間(90~330日)の考え方を参考
  ※2:1ケ月当たり「標準的世帯必要生計費」として民事執行法施行令で定める
     33万円を参考
     従来の自由財産99万円に加え、年齢等に応じて100~360万円
  ※3:社会通念上、豪邸ではない自宅(その都度銀行の判断による)

5.日本政策金融公庫も経営者保証を求めない資金繰り支援を強化
 (1)保証人特例制度の拡充・新設
  ~中小企業向けの経営者の個人保証を免除・猶予する特例制度につき積極的に対応
   制度利用時の加算利率:上乗せ無し~0.4%(免除制度)  上乗せ無し~0.1%(猶予制度)
 (2)小規模事業者向けに、個人保証を免除する特例制度を創設
   制度利用時の加算利率:一律0.3%上乗せ(免除制度)

 詳しくは「経営者保証に関するガイドライン」及び「経営者保証に関するガイドラインQ&A」、日本商工会議所(http://www.jcci.or.jp)、全国銀行協会(http://www.zenginkyo.or.jp)のホームページにて確認できます。

税理士法人 さくら総合会計 監査部 黒子 修治