#0136 社会福祉法人新会計基準の実務上の留意事項
2013/11/18
社会福祉法人新会計基準の適用が開始されて1年半が経過し、残すところ移行期間があと1年半を切りました。適用の時期は、平成27年3月31日(平成26年度決算)までの間は、従来の会計処理によることができますので、遅くとも平成27年4月1日の予算からは、新会計基準にて運用が必要となります。今回は、実際移行を経験した中で、社会福祉法人新会計基準適用の留意事項についてまとめました。
①経理規程作成の留意事項
・ 財務諸表等は、法人により省略できるものもあるため、作成しないものは記載しない
⇒ | 例えば、社会福祉事業区分のみの法人【第1号の2様式、第2号の2様式及び第3号の | ||
2様式の作成を省略できる。この場合、財務諸表の注記(法人全体用)「5.法人が作成 | |||
する財務諸表等と拠点区分、サービス区分」にその旨を記載する】 |
⇒ | 例えば、補助簿【当座預金がない場合の当座預金残高調整表、有価証券を保有して | ||
いない場合の有価証券台帳など】 |
・ モデル経理規程に原則的な方法と簡便的な方法が定められている条文がある場合は、法人の実態に適した記載方法の検討が必要
⇒ | 例えば、リース会計【2 リース資産総額に重要性が乏しいと認められる場合には、前 | ||
項の規定にかかわらず、リース料総額から利息相当額の見積額を控除しない方法に | |||
よることができる】 |
②移行に係る調整仕訳の留意事項
・ 移行に係る調整仕訳において、原始帳簿の保存状況等により原則的な処理が行えない場合、特例による処理が認められており、法人の判断により適した記載方法の検討が必要
⇒ 例えば、設備資金借入金元金償還補助金に係る国庫補助金等特別積立金の設定など
※経理規程準則から平成12年基準への移行など過去の移行処理において特例処理を使用
した場合は、その特例処理に基づく結果を前提に今回の会計基準への移行を行うこと
としても差し支えない
・ 移行に係る調整は、移行年度の期首において移行に係る調整仕訳の入力を行い、
期首残高とする
③その他の留意事項
・ 移行年度の当初予算の作成
⇒ | 旧基準で作成し組替する又は最初から新会計基準で作成するなど、法人に適した方法で | ||
作成することが必要 | |||
そのためには経理担当者がきちんと関わり、勘定科目体系等の内容の把握が必要 | |||
また、移行を機に今までの勘定科目使用状況等の確認も行い、必要があれば見直しを行う |
・ 決算時に作成の財務諸表、附属明細書、注記について、作成するもの又は省略できるも
のの確認が必要
※ | 上記のように、移行の調整だけでなく、移行年度においても内部取引や決算財務諸表等に | |||
ついては、現行の会計基準とは大きく異なっており、社会福祉法人新会計基準の詳しい内 | ||||
の把握が不可欠です。ご不明な点などについては、弊社公益社会福祉法人部までお気軽 | ||||
にお問い合わせください。 |
税理士法人さくら総合会計 新潟事務所 井之川 元