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コラムレター

#0131 社会福祉法人新会計基準の適用と棚卸資産について
2012/08/27
 「社会福祉法人会計基準の制定について」(平成23年7月27日雇児発0727第1号、社援発0727第1号、老発0727第1号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長、老健局長連名通知)が示されたことに伴い社会福祉法人会計基準が改正されて約一年が経過しました。既に移行を済ませ、平成24年度よりこの新会計基準で経理されている法人もあるかと思われます。

 新しい会計基準に移行することによる変更点は、適用範囲の一元化や財務諸表の構成・様式の変更等いくつかありますが、今回は棚卸資産の取扱いについてご説明します。
 棚卸資産に係る新会計基準に移行することによる現行基準との相違点は以下の二点です。

 ①病院会計基準等との一元化による勘定科目の追加
 ②棚卸資産に関する時価評価の導入

 このうち、①の勘定科目の追加に関しては、「医薬品」や「給食用材料」などの科目追加に加えて、新会計基準移行期間終了(平成27年3月31日)をもって社援施第6号通知(注1)が廃止されるため、その取扱いについては注意が必要かと思われてきましたが、全国社会福祉施設経営者協議会から平成24年2月3日に公表された社会福祉法人モデル経理規程第44条3項「棚卸資産のうち、毎会計年度一定量を購入し、経常的に消費するもので常時保有する数量が明らかに1年間の消費量を下回るものについては、販売目的で所有する棚卸資産を除き、第1項の規定にかかわらず、受払帳を設けずに購入時に消費したものとして処理することができる」の規程により、実務上の負担は緩和されたように思われます。

 ただし、②の時価評価の導入に関しては、販売目的で所有する棚卸資産の時価が取得価額よりも下落した場合には、時価をもって評価することを求めるもので、期末時点の時価額はどのように算出するのか?時価は「正味売却価額」(売ったらいくら)「再調達原価」(買ったらいくら)のいずれの方法で評価するのが良いのか?など新会計基準移行後の決算処理を行う上で不明な点は今後も出てくる事が予想されますので、実務に関する具体的な取扱いに係る通知等には目を光らせておく必要があるかと思われます。
 当社でも月間グローバル等を通じて情報の提供を行っていきたいと思います。

 (注1)社援施第6号「(中略)毎年度一定量を購入し、経常的に消費するものであって、かつ常時保有する量が明らかに1年間の消費量を下回るものについては、その購入時に支出として処理することができる。」 

 税理士法人 さくら総合会計 公益・社会福祉法人部  岡田 光次郎