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コラムレター

#0128 会社の格付が決まるまで
2012/03/27
 最近の経済状況により、資金繰りに苦しむ中小企業は多く、金融機関からの融資をいかにスムーズに受けるかということに今まで以上に高い関心が向けられていると思います。従来では、土地を担保とした金融機関からの借入が中心でしたが、バブル崩壊以降、金融機関の審査方法は劇的に変化しました。従来の不動産担保の融資から、「決算書中心」の審査方法となりました。この決算書を中心に各金融機関は「信用格付」というものを行います。
 そこで今回は、信用格付の手順について記述したいと思います。


1.信用格付とは
 信用格付とは、金融機関がリスク管理のために、融資先企業の決算書の情報などに基づき金融機関独自にランク付けを行うものです。そして、金融機関はこの信用格付に基づいて債務者区分を行います。債務者区分には、「正常先→要注意先→破綻懸念先→実質破綻先→破綻先」の5段階があります。そして、正常先に区分されないと、積極的な融資を受けることは難しくなります。また、債務者区分の詳細については、金融検査マニュアルをご参照ください。金融検査マニュアルは金融庁のホームページからダウンロードすることが出来ます(金融庁:http//www.fsa.go.jp)。


2.信用格付の手順
① 定量評価
 これは、決算書に記載された数値に手を加えることなく客観的に評価することです。銀行が定量評価をするに当たってどのような財務指標を使用しているかは各金融機関によって異なっており、また、公表等はされていないため正確にはわかりません。しかし、一般的には各利益率、自己資本比率、流動比率、債務償還年数等経営分析に使用するような指標が利用されていると思われます。この定量評価ですが、格付をする上での重要度は圧倒的でそのウェイトは70~90%と言われています。

② 定性評価
 次に、財務データでは表現されない事項について評価します。具体的には、企業の技術力、販売力、経営者の資質といった定性的な情報を含む経営実態の把握についてです。定性評価は、評価者の主観に依存する部分が大きくなるため、格付全体の中では定量評価を補完する位置づけといえます。

③ 実態調整
 最後に、定量評価、定性評価では測りえないリスクをチェックします。測りえないリスクとは、受取手形に不渡手形が含まれていないか、売掛金に回収不能なものはないか、棚卸資産に不良在庫はないかなどです。マイナスの要素だけではなく、役員借入金を実質自己資本とみなすなどのプラス要素の調整もあります。それらを考慮し、最終的な評価、格付を行います。


 上記の手順を理解し、信用格付が上がるように意識することで、融資交渉も有利に進めることができ、資金調達がスムーズにいくこともあります。自社の決算書もご確認してみてはいかがでしょうか。

税理士法人 さくら総合会計 監査部 立藤 健治