税務や会計業務を中心に事業全般のコンサルタントを担う税理士事務所
011-271-1417
(受付時間:平日9:00~17:30)

コラムレター

#0110 ペイオフについて
2010/10/07
  9月10日「日本振興銀行の破綻により、初のペイオフ発動。」というニュースが流れました。このニュースにより、日本振興銀行に預金をされていなかった方でも少なからず不安を覚えたかと思います。

 そもそも、ペイオフとは一体どのようなことを言うのでしょうか。

  銀行等の金融機関は万が一の倒産に備え、預金保険機構に対して一定の保険料を支払っています。そして、金融機関が実際に破綻した場合に、預金保険機構が預金者に対し、代わって預金の払い戻しをする行為のことをペイオフといいます。
 しかし、全額が保護されるわけではありません。現行の預金保険法では、決済用預金の全額と、そのほかの預金の元本1,000万円とその利息の合計額が保護の対象とされています。
[全額保護される預金]
 ・当座預金
 ・決済用普通預金 など

[元本1,000万円の算定の仕方]
 ・複数の口座を持っている場合には、その全てを合算します。
 ・法人で本店、支店、営業所ごとに口座を持っている場合にも合算します。
 ・個人で家族名義の口座については合算しません。
   (名義を借りているだけの場合には、全額が保護されない場合もあります。)
  ・破綻した金融機関に対して借入れがある場合には、預金と相殺することができます。

  ここまでは、ペイオフの概要について述べさせていただきましたが、では、実際に保護されない金額が出てきた場合には、税務上どのような取り扱いがされるのでしょうか。

○税務上の取り扱い
 [法人名義の場合]
  法人名義の口座について保護されない金額が出てきた場合には、その保護されない金額を法人のその事業年度の損失として計上することができます。

 [個人名義の場合]
 個人名義の口座について保護されない金額が出てきた場合、可能性として雑損控除もしくは資産損失の適用が考えられますが、雑損控除の適用は災害・盗難・横領による損害に限られているため、金融機関の破綻による損失については適用することができません。
  さらに資産損失の適用についても、定期預金の場合には、たとえ事業用の運転資金の一部だとしても、定期預金は利子所得の基因となる所得であることから、資産損失として必要経費に算入することは認められないと思われます。
  
  したがって、今回破綻した日本振興銀行の場合は預金商品が定期性預金のみだったため、個人の方が税務上の救済措置を受けることは難しいでしょう
  しかし今回は、ペイオフが発動された初めてのケースであり、定期預金ではない他の預金等については、別の考え方があてはめられることも考えられます。
 さらに定期預金についても、これから法律が整備され取り扱いが変わる可能性は十分にあります。税務上の取り扱いについては、今後の動向に注意が必要となります。

  金融機関の破綻というなかなか想像できないことかもしれませんが、万が一起きてしまってからでは手遅れになってしまうので、この機会に一度ご自身の預金を見直してみてはいかがでしょうか。




税理士法人さくら総合会計(監査部)菅原