コラムレター

2009/3/31 #0071 給与所得控除について

  個人の所得に課税される所得税は、原則としてその年中の収入金額から必要経費を控除した所得金額を算出することとされています。ところが、給与所得に関しては例外的に必要経費の実額控除の制度が設けられておりません。
  そのかわりに、給与所得控除額(収入金額に応じた一定の割合を掛けて算出された金額)という概算経費を控除して所得金額を算出することとされています。

  現在の給与所得控除額は、最低控除額が650,000円であり、収入金額が1,625,000円を超える分から収入金額の40%相当額となり、収入金額が大きくなるにつれ、その収入金額に掛ける割合は段階的に逓減する構造となっています。

  なお、この制度が制定された大正2年は収入金額の10%が控除される仕組でしたが、その後、幾度の改正を経て、昭和49年改正より給与所得控除額は大きく拡充され、現在使われている算出方法に至っております(現在適用されている金額・料率は平成7年改正から続いています)。

(例)年間給与収入 2,000,000円  給与所得控除  780,000円 (収入金額の39.0%)
   年間給与収入 3,000,000円  給与所得控除 1,080,000円 (収入金額の36.0%)
   年間給与収入 5,000,000円  給与所得控除 1,540,000円 (収入金額の30.8%)
   年間給与収入 7,000,000円  給与所得控除 1,900,000円 (収入金額の27.1%)

  ところで、給与所得者に経費の実額控除を採用すべきかどうかという議論は、以前からありました。給与所得者の必要経費について考えられるものとしては、

 ・ 出張旅費、転任費用
 ・ 職務上必要とされる制服その他の職業用具の費用
 ・ 通勤手当の支給が無い場合の通勤費
 ・ 図書費、研究費、研修費(職務上必要なもので、趣味・教養のためのものは含まない)

などが挙げられますが、現状はその多くが使用者負担の場合が多く、給与所得者の実額での必要経費はそれほど大きな金額になるとは思えません

  このため、給与所得控除の制度は、給与所得者にとって有利にはたらいている制度であるといえます。

  なお、所得税法では、サラリーマン特有の特定支出の負担額が給与所得控除額を上回るときは、その上回る部分の金額を給与所得控除後の金額から差し引く「給与所得者の特定支出控除制度」が設けられております。
  しかし、給与所得控除そのものが実態より有利なため、特定支出控除制度の毎年の利用者は、全国で10人にも満たない状況となっているようです。


税理士法人 さくら総合会計 (監査部)
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