コラムレター

2017/4/15 #0167 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインについて

 労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者には労働時間を適正に把握する責務を有しているといえます。
 しかし現状では、長時間労働問題、割増賃金の未払いといった問題が生じるなど、使用者が適正に労働時間を管理出来ていない状況がみられています。
 そのため、平成29年1月20日付で、厚生労働省より長時間労働削減のためのガイドラインが公開されましたので、概要についてまとめました。


1 労働時間の考え方
労働基準法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。ただ、労働基準法上の労働時間に当たるか否かは客観的に判断されるもので、例えば、使用者から義務付けられた更衣等の準備時間、業務後の後始末、労働から完全に解放されていない状態での待機等している時間など、労働時間に当たるとされています。

2 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置
(1)使用者は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録すること
 使用者は、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を残し、適正に管理することが必要です。
(2)自己申告制により労働時間の管理が行われている場合の措置
 曖昧な労働時間管理となりがちであるため、適正な自己申告を阻害する措置(労働者が自己申告できる時間数の上限を設ける等)を設けてはならないこと、∋藩兌圓把握している時間との間に乖離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正を行うこと、などの講ずべき措置を明らかにしています。
(3) 賃金台帳の適正な調製と保存
 労働基準法108条では、使用者は各事業所ごとに賃金台帳を調製し、労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数といった事項を適正に記入しなければならないとなっています。また、賃金台帳やタイムカードの労働時間の記録について労働基準法109条に基づき、3年間保存しなければなりません。


 政府の長時間労働抑制に向けた環境整備の動きが加速しています。36協定の上限時間の設定、中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の猶予措置の廃止、年次有給休暇の確実な取得など、労働基準法の改正が行われる予定です。今後、長時間労働に対する取り締まりはますます厳しくなり、企業にはガイドラインのような労働時間の適正な管理・長時間労働の削減が強く求められていくと考えられます。


税理士法人さくら総合会計 労務部 保田 健治
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