コラムレター

2012/2/27 #0127 青色申告制度と制度利用の要件〜正規の簿記で正確な経営状況の把握を〜

 毎年3月15日は所得税の確定申告の申告期限です。
 個人で事業や不動産経営を行っている方は、必要な帳簿作成を行い、税金計算上メリットがある青色申告制度を利用しているでしょうか。
 年に一度の確定申告のこの時期は、税金計算や日々の記帳への関心が高まるかと思います。今回は、青色申告制度の成り立ちと制度についてご紹介いたします。

●青色申告制度の成り立ち
 終戦以降の納税制度は昭和21年に日本国憲法が公布され、この中で教育・勤労とならび、第30条に『国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。』という三大義務の一つとして定められました。
 また、翌年の昭和22年には、納税者が自主的に自分の所得や税額を計算して申告納税する『申告納税制度』が導入され、昭和25年には戦後混乱した日本経済の下で、どのような税制をたてるべきかということについて、コロンビア大学教授シャウプ博士の使節団が調査を行い提出した『シャウプ勧告』に基づく税制改革が行われて現在の税制度の基盤ができ、この時に『青色申告制度』が創設されています。

●青色申告制度について
 青色申告制度の利用には、貸借対照表や損益計算書を作成できるような「正規の簿記の原則」による処理が原則とされています。原則に則って処理を行えば、特別控除を始めとする税金計算上のメリットが認められています。

≪青色申告制度の主な特典≫
  ・青色申告特別控除・・・不動産所得・事業所得から最高65万円を控除できる。
  ・青色事業専従者給与・・・一定の親族へ支給する給与を必要経費にできる。
  ・少額減価償却資産の特例適用・・・30万円未満の資産を購入し、業務の用に供した場合、
                        全額をその年分の必要経費にできる。
  ・貸倒引当金・・・事業所得から業務上生じた売掛金等の貸倒れによる損失見込額として
             5.5%(金融業は3.3%)を必要経費にできる。
  ・純損失の繰越し・・・事業所得などに赤字がある場合で、損益通算の規定の適用後に控
               除しきれない金額(損失)が生じた場合、その損失額を翌年以後3年
               間にわたって繰越して、各年分の所得金額から控除できる。



●正規の簿記の原則について
 ところで青色申告制度の利用条件にある『正規の簿記の原則』とはどのようなものでしょうか。これには次の3つの要件が求められています。
 ・経済活動のすべてが網羅的に記録されていること(網羅性)
 ・会計記録が検証可能な証拠資料に基づいていること(立証性)
 ・すべての会計記録が継続的・組織的に行われていること(秩序性)

 この要件を備えた帳簿は、一般に複式簿記による会計帳簿が該当するとされています。日々の現金や在庫の管理を行うことも、この「正規の簿記の原則」の範囲に含まれているため、これらをないがしろにすると帳簿の作成ができないだけでなく、正確な経営状況の把握もできなくなります。

 例えば、月末在庫の管理を行わなかった場合、継続的にすべての仕入れについて記録されていないと、仕入金額や在庫金額が判明しないため、売上原価の計算ができず正確な利益が把握できません。また、帳簿上の在庫金額が判明しないと、実際に棚卸を行っても、減耗が生じた場合や盗難があった場合に損失金額の算定ができなくなってしまいます。
 さらに、余剰在庫が多い場合には、仕入時に現金を支出しているにも関わらず、在庫が売れないで残っている(現金化できていない)ために、資金繰りを悪化させる要因になるなど、資金繰りにも深く関係しています。

 このように、青色申告制度を利用するために、「正規の簿記の原則」に則って処理を行うことが、資金繰り改善経営指標作成のほか、自身の正確な経営状況の把握に繋がっていくことになるのです。


税理士法人 さくら総合会計 監査部 松原 克博
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