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コラムレター

#0186 生命保険法人契約の通達改正について
2019/07/31
2019年6月国税庁より「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)が発出されましたので、その内容についてご紹介します。なお、新通達の対象となる商品は、法人向け定期保険および第三分野保険です。
改正内容は、定期保険及び第三分野保険におけるピーク時の解約返戻率に応じて、以下のとおり資産計上を行うこととなりました。

1.最高解約返戻率 85%以下の場合
(1)保険期間の開始の日~保険期間の当初4割相当期間を経過する日まで 
   ① 最高解約返戻率50%以下資産計上なし
   ② 最高解約返戻率50%超70%以下支払保険料の10分の4を資産計上
                     ただし年換算保険料相当額が30万円以下の場合資産計上は不要
   ③ 最高解約返戻率70%超85%以下支払保険料の10分の6を資産計上
   支払保険料と資産計上額の差額は、経費として計上します。
(2)(1)の期間経過後は、資産計上はありません。(全額経費計上)
   なお、保険期間の7.5割相当期間経過後、資産計上額を残りの期間で均等に取り崩し、
   経費として計上します。

2.最高解約返戻率 85%超の場合
(1)保険期間の開始の日~最高解約返戻率となる期間の終了の日まで(※)
   保険期間開始の日から10年を経過する日までは、支払保険料×最高解約返戻率×9割 を、
  10年経過後は、支払保険料×最高解約返戻率×7割をそれぞれ資産計上します。
   なお、支払保険料と資産計上額の差額は、経費として計上します。
(2)(1)の期間経過後は、資産計上額はありません。(全額経費計上)
   なお、解約返戻金相当額が最も高い金額となる期間経過後、資産計上額を残りの期間で均等に取り崩し、
   経費として計上します。
※「年換算保険料相当額に対する解約返戻金の年間増加割合が70%超の期間」の方が長い場合はその期間の終わりまでを資産計上期間とします。また資産計上期間が5年未満の場合は、5年を経過する日まで、10年未満の場合は、保険期間の開始の日から保険期間の5割相当期間を経過する日までを資産計上期間とします。

法人契約に関する経理処理改正案が通達されましたが、生命保険は企業の事業継続にとってお役にたてる金融商品には変わりがありません。各企業の経営状況などをお考えいただき、経営リスクに備える手段としてご活用いただければと思います。

株式会社パワーコンサル 山村告己